結論売上低下や成果不足といった「現象」そのものを課題にしてしまうと、対策は精神論に傾き、組織は疲弊します。本来問うべきなのは、「なぜその現象が起きているのか」という構造です。このパターンの典型例次のような状況は、多くの企業で見られます。売上が落ちている新規案件が取れない目標未達が続いているこれらを受けて、次のような課題設定がなされます。「営業の行動量が足りない」「もっと頑張る必要がある」「訪問件数を増やそう」一見、もっともらしく見えますが、ここに大きな落とし穴があります。誤った課題設定の構造このケースで起きている誤りは、現象と原因を混同していることです。現象売上が落ちている成果が出ていない誤った課題行動量を増やす意識を高めるしかし、行動量は「原因」ではなく、結果として変動している指標にすぎません。なぜこの課題設定ではうまくいかないのか① 真因が特定されていない売上低下の背景には、例えば次のような要因が考えられます。失注率が上がっている単価が下がっている受注までのリードタイムが伸びているにもかかわらず、それらを分解せずに「もっと動け」という結論に飛んでしまうと、打ち手がズレます。② 再現性のない改善になる一時的に気合で成果が戻ることはあります。しかしそれは、特定の個人の頑張り一時的な無理に依存しており、再現性がありません。③ 組織に疲労だけが蓄積する努力量を課題にすると、常に追い立てられている感覚改善している実感が持てない数字が戻らないと「自分のせい」になるという状態が続き、結果として人が疲弊します。本来設定すべき「問い」このパターンでは、課題そのものを次のように置き直す必要があります。売上は「どのプロセス」で落ちているのか新規と既存、どちらに問題があるのか数量・単価・成約率のどこに変化があるのか課題設定の言い換え例× 訪問件数を増やす〇 成約率が低下している理由を、商談プロセス別に整理する× 営業がもっと頑張る必要がある〇 失注理由が可視化されておらず、改善ポイントが特定できていないこのパターンに陥っているかを見極めるチェック次の質問に「はい」が多いほど、このパターンに近い状態です。課題が「行動」や「姿勢」の話になっている数字の内訳を分解していない個人の努力に解決を委ねている課題設定は「現象の一段下」を見る作業成果が出ないときほど、目に見える現象に引きずられがちです。しかし、本当に変えるべきなのは、現象を生み出している構造です。課題デザイン室の考え方課題デザイン室では、現象をそのまま課題にしない数字や事実を分解する構造として説明できる問いに落とすことを重視しています。「頑張っているのに成果が出ない」と感じている場合、課題は努力量ではなく、問いの置き方にあるかもしれません。本記事は、「課題設定とは何か」という考え方を前提に、その具体的な誤りパターンを扱っています。課題設定の全体像については、こちらの記事をご覧ください。参考:課題設定とは何か?