結論営業改革を「訪問件数を増やす」「架電数を増やす」といった行動量の話から始めると、現場は疲弊し、成果は一時的にしか改善しません。問題は営業の努力不足ではなく、現象(行動量)をそのまま課題にしてしまう課題設定のズレです。よくある状況営業成績が伸び悩むと、次のような言葉が出てきます。もっと動こう訪問件数が足りない架電数を増やそう商談数を増やそうそして会議では、目標件数の引き上げ行動管理の強化日報・週報の粒度アップといった施策が決まります。現場も「やるしかない」と動き始めます。しかし数ヶ月後、こうなります。忙しくなったが、売上は伸びない数字の報告が増えただけ疲弊感と不満が蓄積するなぜ「行動量」から始まりやすいのか① 行動は一番見えやすい指標だから営業の仕事はブラックボックスになりやすく、管理側から見えるのは、訪問したか電話したか商談したかといった行動量です。そのため、見えるものを課題にしやすいのです。② マネジメントしやすい行動量は、数値化しやすい管理しやすい指示しやすいという特徴があります。結果として、「管理できるもの」が課題に置かれます。③ 努力に見えるため否定しづらい「もっと動こう」「頑張ろう」は、正論であり、否定しづらい言葉です。そのため、議論が浅いまま合意が成立します。誤りの本質このパターンの誤りは、次の混同です。結果としての行動量 と成果を左右している構造行動量は成果の原因ではなく、構造が詰まった結果として増減している指標です。商談がうまくいかない提案が刺さらない受注率が下がっているこうした問題があると、自然と行動量を増やさないと成果が出なくなります。なぜうまくいかないのか① ボトルネックが放置される行動量を増やしても、商談の質提案内容ターゲットのズレが改善されなければ、成果は出ません。本来の詰まりは、行動の前段や途中にあります。② 属人的な頑張りに依存する成果が出るのは、体力がある人経験がある人無理ができる人に限られ、再現性がありません。③ 数字が下がると精神論に戻る成果が出ないと、意識が足りない気合が足りないと議論が戻り、改善が一巡して終わります。会議で起きがちなズレた会話このパターンでは、会議がこう進みます。「もっと動けば結果は出るはず」「トップ営業はこれくらいやっている」「まずは行動量を担保しよう」一方で、次の問いは出てきません。なぜ受注率が下がっているのかどこで失注しているのか誰に何を売ろうとしているのか本来設定すべき問い営業改革では、行動量を見る前に次の問いを置く必要があります。① どこで成果が落ちているのか?アポ獲得か初回商談か提案かクロージングか② なぜその工程で詰まっているのか?ターゲットがズレているのか提案価値が伝わっていないのか意思決定者に届いていないのか③ 行動量を増やさなくても成果が出る状態とは何か?商談1件あたりの質提案の再現性受注率の底上げ課題設定の言い換え例× 訪問件数を増やす〇 初回商談で課題認識を共有できず、次につながっていない× 架電数を増やす〇 ターゲット選定が曖昧で、検討度の低い顧客に当たっている× 営業がもっと頑張る〇 提案内容が属人化しており、勝ちパターンが共有されていない正しい課題設定に置き直すと、何が変わるか問いが構造化されると、見るべき数字が変わる改善ポイントが明確になる行動量に頼らなくても成果が出る結果として、営業改革は根性論から設計と再現性の話に変わります。課題デザイン室の考え方課題デザイン室では、営業改革において次を重視します。行動量を課題として置かないプロセスごとに成果の詰まりを分解する個人の努力ではなく、構造で成果を出す「頑張らなくても成果が出る状態」を定義する営業が疲弊しているとき、必要なのは行動量の上積みではなく、問いの置き直しです。